「誕生日プレゼントは自転車がいい」大人になって思い返す贈り物

自転車

「誕生日プレゼントは自転車がいい」
颯爽と自転車を乗りこなすお姉さんになりたいから。自転車で少し遠くまで、自分で出かけていきたいから。友達と一緒に、自転車に乗って笑いたいから。誕生日の贈り物に、母にねだった幼少期。たくさん傷を作って、何度も諦めかけて、やっと乗れるようになった自転車。

みなさんは今も、自転車には乗っていますか?

幼い頃を振り返る、不思議な衝撃

先日、地元の友人たちと、懐かしの公園でピクニックをしよう、という予定を立てていました。せっかくの地元。自分たちの自転車で見慣れた町のサイクリングもいい、という話も上がりましたが、もう自転車が手元にない友人もいて。そのことになんだか大きな衝撃を受けた自分がいました。

私はまだたまに自転車に乗っているから気付かなかったけれど、時間が経ち、暮らしや環境の変化から当たり前だったものが移り変わっていくこと。自分たちが大人になっていること…。そういったものを感じた瞬間でした。

プレゼントには、おもちゃでもなく、自転車が欲しかった

幼い、いつかの誕生日。贈り物は、はじめての自転車。一緒に選びに行って、色も、形も…どれにしようかたくさん悩みました。乗れるようになってからはどこへ行くにも自転車を漕いでいたから、自転車は相棒のような存在でした。遠くに行きすぎないでね、知らないところに行かないでね…そんな約束も、聞く耳を持たなかった覚えが。自転車がないとどこへも行けないとも思っていました。
友人の家や公園、近所の駄菓子屋。高校生になってからは学校への道のりも…何度か買い替えはしたけれど、それこそ毎日乗っていたのではないでしょうか。

けれど今は子供の頃より遅い時間に帰ったり、お金もあるから、バスやタクシーを使うようにもなりました。電車を使わなければいけないところにも、日常的に通います。夏の季節は特に、汗をかいたり、直射日光を浴びなければなりませんし…。自転車の出番は確実に減っていました。

もうきっと、家族に「誕生日プレゼントはなにがほしい?」と聞かれたとしても、「自転車がいい!」と答えることはないのでしょう。練習する必要もありません。
自転車がなくても、どこにでも行けるのです。そして、贈り物にしてもらわなくても、自分で買えるようになりました。
大人になったのです。

月日を重ね、誕生日を過ごし、少しずつ大人になっていた私たち

自転車_影

結局、予定していたピクニックは雨で中止に。友人たちとは食事をするだけになってしまったのですが、自転車を手放していたことに不思議な衝撃を受けたことを話しました。
友人たちも、「確かに…!」と、一緒に当時の記憶を思い返します。
みんなで自転車を乗り回していた時代から、進学先が異なるなど徐々に環境が変わり、会う回数は減っていきました。それでも、偶然道で会った時には、「自転車替えた?」なんて会話もあって。案外、みんなそれぞれの相棒のことを覚えていたりするんだなあと嬉しい気持ちになったものです。
坂道は立ちあがって必死で登り、寒い冬も着込んで白い息を吐きながら漕ぎ続けた自転車。
自転車でどこへでも行った当時の感覚を、懐かしいという思いを乗せて友人と語り合えるのもまた、大人になった証拠。

思っていたよりずっと、特別な贈り物

「誕生日プレゼントは自転車がいい」そうねだったあの日から、暮らしに欠かせない当たり前が膨らんでいったんだなあと思うと、贈り物として私の元にやってきた自転車は、ただの乗り物ではなかったようです。

私もいつか自転車を手放すときが来るかもしれませんが、これからも大切に乗っていきたいと思うし、いつか自分に子供が出来て、「誕生日プレゼントには自転車がほしい!」と言われたら、お気に入りの自転車を選ばせてあげたい。何回投げ出してもいいから、たくさん練習に付き合ってあげたい。一緒に自転車でお出かけもしたい。
そしてゆっくり大人になった時、懐かしく語り合えるような友達も出来てくれたら、嬉しいな。

そんなことを思いました。