初めての冬とマフラー、おしゃれやコーデなんてなかった。後編
<前編はこちら>
しかし、夜になるにつれて寒さが厳しさを増していきます。いまだかつて体験したことのない家で10度以下の世界。朝は白い息でめちゃくちゃ遊んでいたのに、夜はめちゃくちゃ寒い、この時、秋や冬に対して初めて恐怖を感じました。
「これ生命がヤバいやつなのかも」と。取り敢えず毛布を何枚にも重ねてみますが、部屋全体が寒すぎて、動けない。行動の自由を奪われました。その時、必死になって頭を回転させた結果。僕の人生においてイノベーションが生まれたのです。
「エアコンの暖房機能を使えばいいんじゃね?」そう、この時まで、エアコンの暖房機能というものを使ったことがなかったのです。というかエアコンなんて言ってすらいなかった、それまでエアコンは部屋を涼しくするためのものであり、クーラーという呼び名だったのですが、これ以降、エアコンという名称に書き換わりました。
さよならクーラー、こんにちはエアコン。そんな感じです。
そうして神器を手に入れた僕はエアコンの暖房機能をつけて、風量を最大限まで引き上げます。後に電気料金がとても掛かることに気づいたのですが、この時は光熱費のことなんて頭にありません。今、この時の寒さを乗り越えて生き残ることが最も重要だったのです。そんな訳で、どうにか家の中での自由を手に入れて動けるようになりました。
初めて相対した冬。どうやって乗り越えよう。
自由を手に入れて、まずしたことは湯船につかって温まることでした。ここでもまた湯船に浸かるという日本の文化に初めて出会えた気がします。そりゃこんなに寒かったら温泉に入りたくなるわ。沖縄は湯船に浸かる文化がなくシャワーで済ませることが多いのです。この話はまたどこかで機会があればします。
そうやって体を温めながら考えました。
明日からどう生きようと。このままいくと冬を乗り越えられない。幸いにも来客用で寝具はたっぷりとあったので、眠る際の寒さはどうにかなりました。しかし、外での寒さはどうにもなりません。特に首回りの寒さが厳しすぎる。今週中にはどうにかして対抗策を考えなければいけない。
その時に名案が生まれました。そう、マフラーです。「マフラーってこの寒さのためにあったのか!」この時は純粋に人間が産み出したマフラーという存在に感動を覚えました。
ホモサピエンス凄い、そう思えました。また、ひっそりとしたコーデやおしゃれとしてのマフラーへの憧れがあったというのもあります。
マフラーの温かさを感じた。おしゃれやコーデは少し気にしていた。
そうしてマフラーの存在を思いついた翌日には買いに行きました。初めて買ったマフラーはウール100%、白・黒・グレーで3色のライン柄になっているどんなコーデにも合わせられる、おしゃれなマフラーでした。当時にしては奮発したもので5,000円ぐらいで2時間ほど悩んだ気がします。
そうして無事にマフラーを手に入れて、どうにかして冬を乗り越えるためのアイテムを手に入れました。苦戦しつつも早速マフラーを着用してみると「暖かい。」今まで味わったことのない感覚で首を優しく包み込んでくれました。柔らかな肌触りを纏いながらも、確りとした作りで僕の首を温めてくれる。
人間って本当に感動したときはそれ以外の言葉が出てこないんですね。素直にそう思えました。
秋と冬はマフラーの季節
もしかすると、周りから見たら不器用な巻き方だったかもしれません、なんせ初めてなのですから。
それでも温めてくれるマフラーという存在に感動を覚えました。
それから、秋や冬の寒い日には必ずマフラーを巻きました。
朝起きてからバイトに出かけるときも、学校で授業を受けて夜遅くなった日も、友達との飲み会でフラフラになった日も、どこか遠くに出かけるときも。僕の首にはマフラーがいました。いつでも僕の首を温めてくれました。
いつの間にか新品でおしゃれだったマフラーは毛玉だらけになっていました。それでも温もりを与えてくれました。そんな最初のマフラーはもう使っていません。今では購入も着用するのも当たり前になりましたが、最初はそんな感動があったのを覚えています。
今年もまた秋がやってきて、これから冬もやってきます。新しいマフラーはどんなものを買おう。どんなコーデにも合わせられるおしゃれなマフラーだといいな。そんな風に最初のマフラーを思い出しながら、寒さに身を寄せながら想いを馳せていました。
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