靴箱に物語を詰めよう、お道具箱を大切にしていたあの頃のように

靴箱

「素敵な靴を履いていると、靴が素敵なところへ連れて行ってくれるよ」
いつの日か、どこかで聞いたフランスのことわざ。

その言葉を耳にしてから、靴を買う時はお気に入りのあのお店!と少し背伸びをして、自分なりに「素敵な靴」を選ぶようにしていました。
それでも、ひと月も履けばそんな想いはどこかへ行き、気づけば「買って終わり」に。
お気に入りの靴でいっぱいの靴箱のはずなのに、いつもどこか寂しそうでした。

「素敵な靴」って何だろう。
値段の高いもの。悩みに悩んで選んだもの…。
もしかしたら、素敵な靴とは自分とのストーリーがたくさん詰まった靴なのかもしれない。
そんな思いに至ったのは、小学生だった頃の記憶に遡ります。

小花柄の力を借りたかった、小学生だった頃の私

小学生だった頃、私はたくさんの文房具が入ったお道具箱を整理することが好きでした。
のりやはさみ、ホチキス…、どこにでも売っている文房具でしたが、私にとっては日々を助けてくれる大切な道具たち。
お道具箱をひっくり返しては、道具1つ1つの状態を確認し、綺麗に拭いて丁寧に入れ直す。
使っていればすぐにまた汚くなってしまうのに、その時間が大好きでした。
そして、お道具箱の下敷きには、お気に入りの小花柄のシートを。
柄ものを取り入れるのに少し勇気の要った私だけど、自分だけの大切な場所には大好きを詰め込もう、小花柄の力を借りて華やかにしようと思っていたのかもしれません。

誰からも見えないその場所を、自分だけのお気に入りの場所にする。
それは、今思えば自分なりのものに対する想い、愛着や敬意だったのかもしれません。
値が張るものを買うことも、親にねだることもできなかった私は、せめて今手の中にあるものを大事にしたい、そんな願いにも似た想いだったのでしょう。

大人になった今も小花柄の力を借りたい

宝物箱

歳を重ね大人になり、好きなものを自分で買うことが出来るようになりました。
より良いものを…と多少頑張って追い求めることも出来るようになりました。
だけど、あの頃の自分のように、今手の中にあるものを大事にすることで愛着がわくこともあるのではないか?素敵なものになりえるのではないか?
あの頃の自分にそう教えられた気がしました。
それならば、今、することは靴箱を開けること。
私は早速靴を磨き、靴箱を水拭きし、あの頃と同じようにお気に入りの柄、小花柄のシートを敷きました。

靴とのストーリーを作っていきたい

「今手の中にあるものを大事にしたい」
買ったら終わりでなく、使うごとにお手入れをし、しまう場所をお気に入りの場所や心地の良い場所にする。
そんな風に、そのものとのストーリーをつくっていく、それが大事にするということなのかもしれません。
そして、それは「素敵な靴」になるのに十分ではないでしょうか。
靴に限らず、なにかの縁で、今手元にあるものたちをこれからも大事にしていけたら、と思います。

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