ベネチアングラスの美しさ。美術館に天使が舞い降りた。

天使のようなベネチアングラス、美術館の展示

とある美術館で瞳が吸い込まれるようにして、そのグラスの前に立っていた。気づくと白く大きく美しい翼を持った天使が舞い降りて、凛とした鈴の音を天上から世界に響かせているかのようです。

見ていた時間は数秒なのか数分だったのか分かりませんが、人は何かを美しいと思ったときには先ほどまで動いていた時間が、慣性が消えたかのようにすんと止まるのでしょう、その美しさに僕の心は絡めとらわれていました。

僕はあの瞬間、間違いなくこの世界ではないどこか別の場所に居たと思います。でなければ、そんな風に時間が止まるとは到底思えないし、説明できないからです。

もしかすると、そのグラスはこの世で創られたものではないのかもしれません。今、グラスの写真を見返してもその存在感が波打って場所や時間を超えて伝わってきます。

ベネチアングラスとの出会い。箱根ガラスの森 美術館

ポルチーニときのこのスパゲッティは美味しかった。ヴァイオリンの演奏も素敵でした。

このベネチアングラスと出会ったのは、箱根ガラスの森 美術館でのことです。

ご存知の方も多いかと思いますが、僕自身、名前は知っていてもあまり行こうと思ったことはありませんでした。正直、ベネチアングラスというものに関心を持てなかったからです。

とはいえ、近くに行く機会があったのと、その際にGoToトラベルの地域共通クーポンというものが貰えたこと、もともと美術館や博物館などの展示自体は好きで大学生の頃にはよく行っていてあまり興味関心がないから行かないという考え方も好きではないため、行ってみることにしました。

そうしてバスでゆられて乗り換えて、1時間ほど経ったころ、美術館に着きました。

その日はよく晴れていて、時間も11時頃だったため、美術館の敷地内に入ると同時に太陽の光を浴びて煌めくガラス細工と噴水、よく手入れされた芝と木々が待っていました。控えめにいっても美しい景色、正確に伝えるならば遠い異国の地に降り立ちながらも最大級のもてなしで出迎えてくれる貴族の歓待かのようでした。

レストランでの食事もヴァイオリンの生演奏が聞こえてきて、とても心がやすらぐもので、それらだけでも、とても素晴らしい経験が出来たなと感じました。

歴史あるベネチアングラスの展示がある美術館

生命が噴き出す泉

そうして園内を周りながら、その美しさに見とれていると、とある建物内にベネチアングラスの美術館がありました。

正直、見つけた時点ではあまり興味は湧いていなかったのですが、美術館でこれだけ美しい体験ができたのだから、ベネチアングラスの展示にも何かあるかもしれないという好奇心で入ってみることにしました。

するとそこには素晴らしいという言葉だけでは言い表せられない、数々のベネチアングラスが僕の中に飛び込んできます。

わずかな風にもそよぐ今にも折れてしまいそうな奇跡のバランスを魅せるグラスや金色のレースの繊細さとガラスの透明感が美しいコンポート食器、神話にでてきそうなデザインのイスラムグラスとベネチアングラスの技法が見事に融合し昇華されているゴブレット、今にも生命があふれ出してきそうなガラスのモニュメントと泉。そのどれもが素晴らしく、後世に美しさと物語が伝わっていくだろうと感じさせます。他にもベネチアングラスの製法展示などがありました。

そして、その中でも一際目を引いたのが、冒頭で話した天使のようなベネチアングラスでした。

半透明の乳白色と青色が柔らかな音を奏でながら、緻密で繊細な装飾が隅々にまで声を響き渡らせます。それでいながらも、ゴブレットに内包される存在感は凄まじいもので、長い年月を経てその内側にあらゆる概念を取り込んできたのだなということが伝わります。

「美しい。」ただその一言で十分でした。見た瞬間はこの言葉以外でてきませんでした。そして時間が経つにつれて、その美しさが何だったのかが自分の中で、きめ細やかな絹のような心地よい肌触りの感情と言葉になっていきました。

美しいと思うことの大切さ、美術館に行くということ

ガラスの森美術館の景色、ガラス細工が輝いて美しい

そして美術館での観賞を終えても、まだ夢見心地な自分がいました。美しいものを観るというのはこんなにも素晴らしいのだと改めて思ったからです。

ベネチアングラスの写真を何度みても美しいと思います。

これらのベネチアングラスに出会う前と後では、自分の中に何か新しい感情、言葉が産まれました。きっとこれが美しいということなのでしょう。またベネチアングラスと会いたい、美術館に観に行きたい、素直にそう思いました。

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