お気に入りの食器 ときめくおちょこの金継ぎ修理を依頼して

おちょこ_欠け

いつもそばに、お気に入りのやキッチン雑貨があると、料理も食卓もいつもよりもなんだか楽しくなります。市販の容器に入ったまま食べることもできるけれど、あえて好きな食器やグラスに移し替えたりして。自然とそうしたくなるような、ときめきが集まるキッチンにしたいなあと思う今日この頃です。

日本酒好きの我が家は、そんな思いで集めたおちょこが、いくつか。雑貨屋さんで出会ったものもあれば、酒屋さんで出会ったものもあります。
しかし先日、その中でも特に大切にしていたお気に入りのおちょこの口縁が欠けてしまいました。それは数年前に横浜で開催されたハンドメイドマルシェで購入したもの。今では作家さんの情報も忘れてしまい、長く大切にしたいと思っていたのです。
怪我をするほどの破損ではないけれど、このままにしておくのは、おちょこが少しかわいそう。そんなときに思い浮かんだのは、北海道で漆塗りの仕事をしている友人Sさんのことでした。

 

「金継ぎ」がつなげるもの

きっかけは少し前に、上京している大学時代の友人たちと久しぶりに会って話したこと。
当時の話も盛り上がるけれど、気になるのは同じ学科の他の同期が今何してるんだろう?という話題。個別に会ったり連絡を取ったりした話のなかで、そのとき集まったうちの一人が、Sさんに数年前、割れた食器を金継ぎで修理してもらった話をしてくれました。
私もInstagramをフォローしていたので、卒業後にどんな仕事をしているのか知っていました。だけどこういったつながりのありがたさを改めて実感して、とてもあたたかい気持ちに。

おちょこが欠けてしまったとき、ふとその話題を思い出しました。こうして活躍している友人の仕事を見てみたいし、せっかく繕うのならば、よく知っている人にお願いしたい。
そう思ってさっそく連絡を取ってみたら、すぐに快く返信をくれました。

「ご無沙汰してます!この前同期と集まった時にSさんの金継ぎの仕事の話が出たの。私も修理したいおちょこがあるのだけど、やっぱりよく知っている人にお願いしたくて……」

「もちろんです、本州からはるばる北海道までって感じなので、本当にありがとう。知っている人からのご依頼うれしいです!」

相談してみてよかったと安心。おちょこの全体を映した写真と、欠けた箇所を拡大した写真を送ると、錫仕上げを提案してくれました。

「こちらのデザインだったら、錫がお似合いだと思います^^」

「金継ぎ」は"金色"のイメージがあったけれど、銀・錫・色漆など、仕上げの方法は何種類かあるみたい。もちろん修理の見積もいただいて。Sさんが暮らす北海道へ、欠けたおちょこを発送しました。

 

丁寧な手仕事から生まれる漆芸の魅力

漆芸_獅子舞

今回、自分で金継ぎ体験をしながら修理をする方法も考えました。だけど大事なものこそ、信頼できる人に是非お願いしたかったのです。

大学時代に蒔絵体験をしたことがあり、またSさんの作品をはじめ、漆塗りの作品も見たことがあったので漆芸の繊細さは知っていました。
日本を代表する伝統工芸のひとつである漆。英語では「Japan」と呼ばれることもあります。漆が日本の気候や風土の中で古来より使われてきたのは、現代にも残る建造物や漆器等の工芸品が、理由を示しているように思います。
中でも金継ぎはここ数年で、メディアでもしばしば見聞きするようになりました。割れたり欠けたりした食器は、接着剤で繋ぎ合わせることもできるかもしれない。だけど長い歴史の中で培われた漆芸の技術を活かして丁寧につくろったものは、思いが詰まったより特別なものになるかもしれません。

普段は漆の食器やお椀、お箸なども作っているSさん。
どの作品も美しくて、だから見るたびに「いつも丁寧な仕事をしているんだなあ」と感心します。時間をかけて仕上げたものは尊く感じ、不思議と充実して幸せな気持ちにもなるものですね。
そして我が家のキッチンにも、いつか漆塗りの食器をそろえてみたいと、憧れもあるのです。

 

ときめく食器や雑貨が集まるキッチンに、金継ぎおちょこを並べたい

漆芸_蒔絵

おちょこの金継ぎ修理は、仕上がりに4~6か月ほどかかるとのこと。
漆は乾くのに時間がかかるし、高い湿度で固まる性質があるため、これからの季節は少し心配。だけど北海道なら、乾燥しやすい東京よりもほど良い湿度が保てるのかな。

あのおちょこが居ないキッチンは少し寂しいけど、Sさんのもとで繕ってもらっていると思うとなんだか嬉しい。欠けてしまった口に、錫をまとった新しい姿で届くのをゆっくり待つ、そんな時間も愛おしく感じます。

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