大人になった今、絵本が見せた子どもの頃の記憶と未来への希望
「絵本読んでー」
片手には一冊の小さな絵本、もう片方の手には薄紫色のブランケットを引きずる子どもの頃の私。
「絵本もってきたの?いいよ」
母に甘え横になりながら、耳を澄ませる。
次の瞬間、妹の突進によって一瞬場が乱れるのですが、気が付けば最後は、3人川の字になりながら絵本の世界に入っていました。
それは、一冊の絵本と私たち親子の小さな温かい記憶。
絵本を通して生まれた、家族の思い出
「あっ」
小さな書店に行ったときのこと。
目に留まった絵本に、思わず手を伸ばしてしまいました。
それは、 “はらぺこあおむし”の小さな絵本。
手を離すことが出来ず、しばらく手の中の絵本を見つめていました。
その絵本は、指人形がついているもので、そこに指を入れて動かすと、もぞもぞとまるで生きているかのように見せることが出来るのです。
「かわいい…」
指人形に指を入れページをめくりながら、気が付けば、幼いころの記憶に触れていました。
幼い頃、“はらぺこあおむし”をなぜか“きゅーちゃん”と呼んでいたこと。
これを読んでもらう時のお供は薄紫色のブランケット。妹と母3人でつくる川の字…。
今思うと、それは家族だけの秘密、暗号のようで。恥ずかしくも自然と顔がほころんでしまうのです。
絵本が見せてくれた目には見えない記憶に、ほんのり温かくなりました。
かわいい絵本に込めた、未来への願い
そんなことを思い出していると、だんだん「欲しいなぁ」という気持ちが。
だけど、私はもう子どもではないし、ずっと前に卒業したもの。
「でも、だけど…」
頭の中を何度も行ったり来たりしながら、しばらく立ち尽くしていました。
でも、ふと、「いつか自分に子どもが出来た時に、一緒に読めたら」そう考えていました。
私が見ていたのは、もう過去の記憶の中にいる幼い私ではなく、未来の自分の子どもと一緒に読んでいる親になった私でした。
それは、もしかしたら母と妹との確かな温かい記憶が存在したこと、絵本が幼い頃の記憶を引っ張り出してきてくれたからなのかもしれません。
少し恥ずかしくてかっこ悪くて、でも温かい家族の記憶。
絵本を通して幼い頃の記憶に触れ、まだ見えない未来に想いを馳せた瞬間。
絵本を買ってしまったのは、未来への「願い」だったのかもしれません。
子どもの頃の記憶が未来への想いに繋がる
今も、目につくと何気なく開いては、幼い頃に何度も「読んで」と母の元にもっていった記憶をたどりながら、未来の子どもと遊ぶ自分の姿を重ねています。
絵本を通してできた母との優しい記憶、そしてまた同じ絵本を通してつくる新しい記憶と喜び。
いつか子どもと読む時には、母に読んでもらった頃の幼い記憶。
過去と未来を重ねて買おうと決めたあの日。
指人形に指をはめ過去を懐かしみ、まだ見えない未来にわくわくしている今を想うのかもしれません。
時間を経ても色あせない、むしろ経るごとに今までの記憶が色濃く残っていくような。
今は、子どもと一緒に“はらぺこあおむし”を開く日に胸を膨らませています。
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