年齢とファッションの難しい関係。自由におしゃれを楽しむには
たまたまネットで見つけた、“20年前の服を着こなす母”を撮った女性の投稿。
その白髪のお母さんは、白いTシャツに黒のワイドパンツというシンプルなファッションながら、とてもおしゃれに見えました。サスペンダーやサングラス、大ぶりのアクセサリーなどのファッション小物も上手に使い、おしゃれに手を抜いていない感じ。でもそれ以上に、姿勢の良さや、それを保つために努力を積み重ねてきた自信が滲み出ているさま、誰に何を言われても気にしないで自由に好きなものを追求しているファッションが、“おしゃれ”と感じさせるのでしょう。
そういう人を見ればステキだなと思うのに、自分はそんなおしゃれな歳の取り方などできそうもないと思ってしまいます。現に今も、在宅勤務のおかげでラフなファッションや簡単メイクでも過ごせる毎日を、なんてラクなのだろうと思っているのです。
こんな風に歳を重ねたいと憧れた女性たちの自由なファッション
10年くらい前に働いていた職場には、ファッションも人生も魅力的な女性が多くいました。
Eさんは、当時高校生の娘さんを育てていたシングルマザー。永ちゃんみたいな喋り方でロックバンドのボーカルをしている恋人がいました。シングルという状況の大変さを微塵も感じさせず、子どものために自分の幸せを後回しにしていると周囲に感じさせることもなく、ミニスカートを可愛らしく着こなし、好きなファッションやおしゃれを、やりたいことを選択する人生を、楽しんでいるように見えました。娘さんを大学に通わせ、成人するまで立派に育て上げてからその恋人と結婚したその生き方も、ステキだと思っていました。
Nさんとはけっこう年齢が離れているけど、プライベートでは敬語を一切使わないくらい仲良しで、よく一緒にショッピングに行きました。私が悩んで決め兼ねているときは「絶対こっちが似合うよ!」と後押ししてくれることも。私がある年齢を越し「どんな服を買えばいいのか、突然わからなくなった」と言ったとき、「いいのよ、着たい服を着れば」と言ってくれました。Nさん自身はこまめにネイルサロンに通い、指先のおしゃれにも気を配っていたし、ファッションは、彼女をよく知らない人からは「その年齢でそんな服を着て…」と思われることもあったかもしれないけど、彼女らしくて私は好きでした。だからこそ、私にも好きな服を着ればいいと言ってくれたのだと思います。その芯の強さが、彼女らしいおしゃれやファッションのスタイルを作っていたのかもしれません。
そんな先輩たちを側で見ていた当時の私は、いくつになっても自信を持って年齢が言えるように歳を取りたいと思っていました。
思っていたのに…。
ファッションもそれ以外も、自由に歳を重ねるには今を見つめ直す
先日、美容院で数年ぶりのカラーリングをしたとき、スタイリストさんにどんな色にしたいか聞かれ「印象が変わった感は欲しいけど、そこまで派手ではなく、若づくりしていると思われない程度に明るくしたい」と、わけのわからないオーダーをしてしまったのです。
その発言をしてしまった後、自身の内側に残るモヤモヤ感。
あぁ、こんなことを言うオトナになってしまった…
「母親になったのに、そんな派手な服を着て…」と周囲に言われるお母さんたちの話を見聞きして育ち、
「このくらいの年齢になったらミニスカートは卒業」という暗黙の共通認識のある社会で働き、
「実年齢より若く見える肌になれる!」と謳う化粧品の広告に触れてきた私たちは、
マナーや身だしなみという範囲を超えて、普段のファッションやおしゃれにまで年齢や他者の目を意識しすぎ、自分自身を不自由にしていたのかもしれません。
今の自分がその捉え方を変えていくことで、数十年後の自分の内側を自由にしてあげられるのかもしれません。それによって、Nさんみたいに「着たい服を着ればいい」と次の世代に言ってあげられるオトナになれたら、ファッションも、おしゃれも、それ以外のことも、誰もが年齢に関係なく“その年齢らしい自分”を楽しむ自由を選び取れる未来に繋げていけるのかもしれません。
でも、そんな未来で楽しんで生きるには、今、ラクな方ばかりを選んでしまう自分ではダメなんだ…!
たまには今の自分に似合うメイクやファッションを研究してみたり、こまめにヘアサロンに通ったり、新たな体験にチャレンジしたりして、楽しむための基礎体力を今からでも磨いていこうと思います。
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