憧れの喫茶店。大人の趣味について気が付いたこと
「趣味は何ですか?」
この些細な質問が、実はけっこう苦手。
そんな私が先日訪れた喫茶店で感じたことをきっかけに、大人の趣味ってなんだろう?と考えてみたお話です。
つい身構えてしまう”大人の趣味”のイメージ
自己紹介などでよくある、趣味の話。お互いのことをよく知るにはぴったりのテーマだと思います。だけど私はいつも話を振られたらどうしようと内心ヒヤヒヤ。「これが趣味です!」と胸を張って語れるようなものがないから、この手の話は避けたいのです。
映画も好き、旅行も好き、食べることも好き。だけどそれらについて詳しく聞かれると、上手な回答が出来ないし、熱心な活動をしているわけでもない。どれも「”趣味”と呼ぶには恐れ多いです…」といったものばかりです。
だから「大人の趣味」をやっている人を見ると、うらやましく思っていたのでした。
ある日チームのメンバーとの会話で、ある人も趣味について同じように感じていることを知りました。”趣味”という言葉にハードルを感じていたのは案外自分だけじゃなかったのです!気持ちがほぐれると、あらためて「趣味ってなんだろう」と考えてみたくなりました。
心に強く残っていた、憧れの喫茶店へ行った時のこと
以前、喫茶店を特集した雑誌を買ったことがあります。パラパラとページをめくっていた時に、ぐっと心が惹かれたのは、とある有名なお店。大人っぽさとレトロを感じる白を基調とした店内や、ほっこりと優しい見た目のシュークリームやケーキの写真が印象的でした。元々このお店の焼き菓子が好きだったこともあって「いつか行ってみたい!」とちょっとした憧れを抱いていました。
それからしばらく経って少し前の週末のこと。無性にどこかへ出かけたい気分になり思い出したのは、憧れの喫茶店。気の向くままお店に足を運んでいました。
席に座り店内を見渡すと、目の前に雑誌で見た空間が広がります。
「なんて素敵なんだろう…」
小さい頃好きだったアニメのヒーローが目の前にいるような、少し大袈裟に言うなれば、夢が現実になったような感覚を味わいました。
落ち着いた雰囲気を作り出している白のテーブルクロスやふかふかな座面の椅子は、まさに私が想像していた憧れの喫茶店のイメージ通り。そして思ったよりもこぢんまりとした店内やあちこちに活けられたお花は想定外の魅力で、とても新鮮でした。
雑誌で見て憧れていたシュークリームをゆっくり味わいます。まるでレトロな時代にタイムスリップしたような気分。一時間ほどの滞在だったけど、それよりずっとのんびり過ごしていた気がするのは、気持ちが満たされていたからなのかもしれません。
ふと気が付いたのは、そういえばお店に向かうまでに調べたのはお店の場所だけだったということ。それ以外は雑誌を見てあれこれイメージしていただけでした。
だけど、そのぶん実際に喫茶店へ行くと、それが答え合わせのようで、また夢の中のようで、いろんな魅力を感じ取れたのかもしれません。
店内の様子やメニュー、事前になんでも知れる世の中で、あえて雑誌だけの情報を頼りにお店に足を運ぶという行為は、暮らしにちょっとした刺激を与えてくれました。
「やりたいなぁ」と思うこと。それが暮らしを豊かにしてくれる
喫茶店でのひとときを思い出すと、「楽しかったなぁ」とか「また同じようなことがしたいなぁ」という気持ちになります。そして「”趣味”ってこのくらいでいいのかも」と思うようになりました。
趣味という言葉に対して「詳しくあるべき」なんていうのは自分の思い込みだったんだとわかって、少しずつ自分の趣味に自信が持てそうです。
“大人の趣味”って例えば、週末の予定を考えた時になんとなく「やりたいなぁ」と思うとか、「いつか飽きてしまってもいいやぁ」と思えるくらい緩いほうがちょうどいいのかなと思います。
そして、ふと浮かぶ「やりたいなぁ」を叶えることが、暮らしを豊かにしてくれるヒントなのかもしれません。
秋になって散歩が気持ちいい今日このごろ。
今度はどんなお店に心惹かれるのか、ゆっくりパラパラと雑誌をめくるのでした。
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