大人も子供も等身大。本を片手に暮らしを思い出す水田ホテル
先日、一人旅で訪れたのは、ショウナイホテル スイデンテラス。2年ほど前に地元にできたばかりの、話題のホテルです。
地元を応援するために、あえてホテルに宿泊するってなんか面白いかも! そう思って、普段インドア趣味の私が選んだ水田ビューで木材の良い香りがするホテル。
訪れたのは11月初旬。稲刈りは1か月ほど前に終わりましたが、水を張った田んぼもあれば、刈り取られた稲の根元から新しい芽が控えめに伸び、うっすらと緑がかっている田んぼも。白鳥が飛んできて鳥海山と月山がくっきり白くなってきたころ、本格的な冬の気配が感じられます。幼いころから見慣れ、高校生まで暮らしていた土地の景色です。
だけど窓から見える世界はよく知っているのに、私がいるこの空間はホテルという非日常の空間。何とも言えない不思議な感覚だけど、大人になったからこそ過ごすことのできた有意義な時間でした。
みんなが等身大に出合える本が並ぶ、心地よいライブラリ
このホテルで一番のお気に入りポイントは、ライブラリスペースが充実していて本が多いところ。ライブラリは2か所あって、水田の風景を眺めながらゆったりと読書ができます。壁に設けられた広い本棚には、ホテルのオーナーが選んだ本が並んでいます。読書が趣味の方もそうでない方も、ぜひ感じてみてほしい空間です。
大人が自分の素に戻れるような本、みんなが等身大に出会える本、そんな思いでセレクトされた本たちは、素直な時間を過ごすのにも寄り添ってくれそう。普段の暮らしではあまり出会わないような本や、新たな気づきも生まれるのかもしれません。
またテーマごとのメッセージが添えられ、作品中のフレーズも掲示してあります。最近気になっていた社会のこと、暮らしのこと、誰かの話を聞いて気になっていた気持ちのこと、それらを飲みこむためのヒントになりそうなこと。今の自分に適切な本を、より光らせているように感じました。
ちょうど読書という趣味に関心を抱くようになった私。誰かの思いがこういった本を通して私と繋がるのかもしれない…… と、なんだか温かい気持ちに気が付きました。水田の景色を眺め、読書をしながら、等身大の自分に会いに行くってなんかいい。ホテルでゆったりと過ごす時間が、より素敵で特別なものに感じられました。
暮らしを思い出す風景から気が付く、「大人になった」ということ
こうしたコンセプトやメッセージから感じるのは、やはり「素」みたいなもの。目に映るもの、木の香り、風の音、読書の時間もぜんぶ、「自然」だったのかもしれないと今思い返しています。窓から見えるのは子供のころから見知った暮らしと自然の風景だったけれど、このホテルで過ごした時間があったから、あらためてその感覚と出会うことができたみたい。それはまさに晴耕雨読の暮らしです。
大人になり社会人として暮らしている私も、自分自身の懐かしい感覚とその大切さを思い出させてくれた、心が温かくなる体験でした。
あえて地元のホテルに宿泊するのは、大切に思う気持ちから
大人になって上京した私は、生まれ育ち、暮らした土地を応援したいという思いがありました。小さな葛藤は、いつの間にか大きな気持ちになっていきました。
慣れ親しんだ暮らしの風景を見ながら非日常な時間を過ごすことで、私の原点を見つけるような気付きがありました。それはやはり、行ってみて体験しなければわからなかったことだったと思います。
今回滞在期間が短く、これらの本をしっかり読めなかったのが心残りです。だけど回数を重ねることでわかる素晴らしさが、まだまだあるような気がしています。だからまた行きたいし、大人も子供も、地元の人にも、あえて行ってみてほしい。みんなにおすすめしたいホテルです。
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