大人の女性から気づかされた、“見極め”の大切にする暮らし

緊急事態宣言が全面解除となって最初の週末、大好きなお姉さん(先輩)に会いに行きました。
年齢は……そういえばはっきり聞いたことはないけれど、昨年初孫が生まれおばあちゃんになったそう。

コロナが蔓延する以前から、ソーシャルディスタンスを気にする必要もないくらい混雑とは無縁の下り電車で約1時間。仕事以外での県をまたぐ移動が久しぶりで、なんだか旅行気分。
「そうだ。久しぶりに電車の中で小説でも読もうかな」と思い立ち、カバンにしのばせて出発しました。

何度か行き来したことのあるこの路線は、車窓から見える景色がだんだんのどかになっていきます。読んでいた小説からあえて目を離して、青々とした緑をしばらく眺めていると、「季節が変わったんだなぁ」と五感で直接感じられることが、いつもより嬉しく感じました。

青空

駅まで迎えに来てくれたお姉さんの車に乗ってお宅に到着。庭で畑仕事中のご主人にご挨拶。
「もうすぐ定年なの。定年後は仕事は一切しないで、畑をやりたいんだって」とお姉さん。

「誰かとランチするのも久しぶりだわ〜。嬉しい!」「私もです〜!」と再会を喜びあって、他愛もない会話と食事を楽しみました。

このお姉さんの好きなところは、はっきり意見や思いを言うところ。仕切り上手でスパスパものを言うのに、ちっともイヤな感じも、高圧的な印象もないところ。ストレートな言葉選びでも、なぜか朗らかに聞こえるのが不思議。懐の大きな母性みたいなものを感じるのかなぁ…年齢は離れているけれど、だからこその安心感なのか、ときどき敬語も吹っ飛んでしまうんです。
どうしたら、こういうステキな人になれるんだろうと、会うたびに思います。 “友達”とは少し違う、特別な、密かに憧れている存在です。

今は趣味を生かしたお教室を自宅でやっています。ホームページを作ったりSNSで発信したりなどの策をまったく講じなくても生徒さんが集まるのは、お姉さんの人柄によるところが大きいのではないかと思っています。お姉さんは「田舎でほかに娯楽がないからよ〜」と、いつも言うけれど。
コロナの影響でしばらくお休みしていたお教室の再開を生徒さんに伝えたところ、これを機に退会を希望した人が何人かいたとのこと。仲間が去っていくことを寂しがる生徒さんに、こんな言葉をかけたそうです。
「今は、自分にとって何が必要か見極めるときなのかもね」

曲り道

部屋の片隅には、羊毛フェルトでできたリアルな犬のオブジェが。「かわいいですね!」と声をかけると、偶然知り合った作家さんに愛犬の写真を見せて、わざわざ作ってもらったと教えてくれました。
「私、死ぬときは、棺桶にこれを入れたいの!」と朗らかに笑いながら、その愛犬のオブジェを触らせてくれました。最近、同年代の友人たちとも、何を棺桶に入れたいかという話題で盛り上がったそうです。
「いやいや、何を言ってるんですか。今は人生100年時代と言われているんだから、まだまだ先の話じゃないですか!」と、私も笑いながら突っ込みました。

 

私にとっての“見極め”って…?

帰りの電車に揺られながら、お姉さんの言った“見極め”という言葉が、ふっと頭をよぎりました。そういえば最近の外出自粛生活のなかで、私にも「なくても案外平気なんだな」と気づいたものがあったんです。

たとえば、テレビ。
平日の仕事時間中はつけないので、そのままの流れで夜もつけずに過ごすように。休日の午前中も、ちょっと前までの自分だったら、ぼーっとテレビを見ているだけであっという間に過ぎていったのに、本を読んだり、早起きして近所にお散歩に行ったりする時間になりました。「休みの日に午前中から本を読んでいるなんて…!」と、そんな自分の変化にちょっと感動すら覚えます。

たとえば、洋服やお化粧。
服を買うのも好きだと思っていたのに、今はあまり欲しいと思わなくなりました。出掛けるときの“マナー”として、人目を気にしていただけだったのかな…? 実はストレス発散が真の目的の買物もあったかも。お姉さんも、化粧をしなくなったら肌の調子がいいと言っていました。

一本道

……自分が死ぬときに棺桶に入れたいものってなんだろう?

そうやって見極めていったら、今の自分に本当に必要なものだけが残ったり、余裕ができた分、ほかの大事なことに気づいたりするのかな。

ちょっと前の自分だったら、往復の電車では小説を読もうなんて思わず、スマホをいじっていたのかも…
車窓から見える緑を、季節の移り変わりを、あえて味わおうとはしなかったかも…
人生の先輩と過ごす時間や会話も、こんなにありがたく感じなかったかも…

時折、自分を棚卸しして大事なものだけを残していくことが必要な年齢になったのかもしれません。

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