【暮らしに会いに行く】最近になって変わった旅のかたち

旅のゆきさきは大阪

2016年か7年の夏、一寸思い出に残る旅のゆきさきは、大阪、梅田。
一番安かった中古のチケットを買い取り飛行機に飛び乗ると 一足先に転勤していた大学の先輩のところへ会いに行きました。

旅行となると誰かと一緒に観光へ向かうとか、完全な一人旅が多かったのですが、”男同士で飲もうぜ!”とやや強引に誘われ現地に赴くことにしたのでした。ちょうど暇だったし、その先輩には長く世話になっていたので久しぶりに身の上話もしたかったのです。

旅行となると新幹線だ、バスだ、フェリーだ、と移動手段のほうが気になってしまう男子ですが今回はLCC。少し狭めな機内で小一時間じっとしていればすぐに空港についてしまう。陸路とはえらい違いです。

久しぶりの再会、変わらない先輩

機内食を楽しむ時間も、席幅もなくすぐに大阪。そのかわり余った時間を使い、現地で一通りおいしいものを食べ、木津卸売市場を迷い込むように観光するとちょうど待ち合わせの時間。

梅田に行くといつも食べていた商店街のはなだこ で合流です。

待ち合わせ場所に現れたのは大学時代と全くいでたちの変わらないそのままの先輩。持っているカバンと財布が少しあたらしい物になったくらいで、最後に会ったときとまるで変りません。

過ごしたのは、いつもの暮らしと変わらない休日

「どうするの?どっか行きたいところある?」と聞かれたので「いつも通りの、しょうもない休日を過ごしたい」というリクエストをしました。

「じゃあ串カツでも行くか!」と関西にやたらあるという串カツ屋さんへ。これじゃ東京にいるのと変わらんなあと思いながら、こちらも東京にいる時と変わらない二人の話題は進みます。

 

「大学の頃のFはテレビ局で制作にいるらしいよ、番組の企画で毎日通院してるって」

「こっちでの暮らしは快適や、会社の隣のマンションに住んでて、ドアtoドアで3分。ええやろ。」
ことばの端々にわざと関西弁を差し込んで来るのがおかしい。
昼間からビールを飲み始めてしまった久々の二人は、「瓶ビールがおいしいか、生ビールがおいしいか」と幼稚な検証を始める始末です。

大人になってもコドモのように

「自分就活どうなん?」右手のコップと左手のジョッキを飲み比べながら聞かれます。
「まえ言ってた、人生の目的のエピソード、あれ真似しようと思って挫折しました」
「なんだっけ?」
「あったじゃないですか、大学3回のときに『なんで生きてるんだろう』って思って4日間水だけで過ごして結論だした話」
「あ、あれ嘘。」
「ええー!?」

 

そうやってくだらない思い出話をしながら食べるなんでもない串カツは、ちょっと油っこくて、でも何よりもおいしかったのを思い出します。
結局先ほどのくだらない検証も、最初の一杯がおいしいという結論に。ふたりとも良い気分に酔っぱらって街を散策したのでした。

はしゃぎ回る二人は、「動物園に入ろう」と言い出し市営動物園に入ってみたり、大阪ディープエリアを探検したり、さながら子供にかえった小学生。

大阪にしばらく住み、働き、半ば現地の人に揉まれるように暮らしていた先輩はその場にいる誰よりもその土地について詳しく、かっこよく見えました。でもしゃべり方は方言も混じらず昔の儘。周りから様々な言葉が飛び交う中で、自分たちだけが昔に戻ったような錯覚を覚えます。

次の日仕事だった先輩は僕を宿に送り届けると颯爽と姿を消しました。なんだかちょっと寂しかったのを思い出します。

教えてもらった帰り方は都市高速の脇を走るモノレール。電車と違って橋脚から景色が良く見えて空を歩くようです。麦わら帽子の子供たちは運転席に張り付いてずっと外を見ている。僕もこのころと何も変わらないかもしれません。

暮らしに会いに行く旅

「きみたちはこれからお出掛けかい?」

そんなことを心の中で呟くと、小型機が駐機場から出てきます。パイロットと目が合いそう。モノレールではこんなにすぐ近くまでやってこれるのです。

 

みんなに人気の”おいしいもの”とか”きれいなところ”を目指す旅もよいけれど、そこにしかない究極のものってなんだろう。そんなことを考えると、そこのひとたちの”ふつうの暮らし”に会いに行く。そんな、誰かに会いに行くような旅って、とても良いなと感じます。二人旅とも、グループ旅行とも、ひとりの放浪とも違う。それだけで旅がちょっと楽しみになる。

 

遠くにいる人に会いに行く、ただそれだけで、旅の質が変わる。コロナ禍でアクティブな移動が難しいからこそ、

そんな旅に、また出ていきたい今日この頃です。

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