鉄道博物館|ステンドグラスに込められた暮らしのメッセージ
2020年といえば、様々なイベントや施設が中止や縮小を余儀なくされてしまい、あまり思い出のない年となってしまいました。本来であればたくさんの子供たちでにぎわうはずの場所も、入場を制限したり、短縮したりして思うようにお出掛けもできない状況です。鉄道博物館もそのうちの1つ。コロナ禍でいったんは来館を中止したものの、状況を見ながら再開館をしていた施設です。
感染症対策にも力を入れているようで、チケットも時間指定制。まばらなお客さんにも窓口販売はせず、前売り券を近くのコンビニまで買いに行くという徹底ぶりに時の流れを感じます。
少年たちもこのご時世。知ってか知らずか、果たして楽しめるのだろうかと心配してしまいましが、入場制限していたおかげかいつになく空いていて、あちこち走り回っていつも以上に広いてっぱくを楽しんでいる様子です。
ただ、シミュレーターをはじめ、様々な展示車も閉鎖され、外の公園も入園中止。これにはこどもの抗議の声が響くもの無理がありません。
あっちでは女の子が「ここであそぶーーー」と、こっちでは男の子が「なんで閉まってるのー」。
外で思い切り遊びたい一番の時期に外出の自粛、やマスクを取ることは許されない日々。いつか「アフターコロナ」の時代にもう一度遊びに来てほしい、そんなことを思うばかりです。
じつは大宮鉄道博物館は以前は在来線の車両基地だった場所。後半は車両解体場として利用されていた跡地を転用して建てられた博物館。だからフェンスの外は在来線の線路。すぐ近くを電車が通る好立地で往年の列車たちを見学できるのはメカ好きにとってはありがたい博物館ですよね。
鉄道模型ジオラマは趣味として持つとお金がいくらあっても足りなくなるという話を聞きます。鉄道博物館も子供のみならずファンにとっては垂涎ものの光景。
ステンドグラス「過ぎゆくもの」を見て・・・
鉄道博物館の2階、エントランスゾーンにあるステンドグラスは、天井まで届く大尺が圧倒的な採光展示。エスカレーターで上がってゆくとまばゆいばかりに美しい彩りがふりそそいできます。
ステンドグラス「過ぎゆくもの」 は、「谷川俊太郎さんの詩『過ぎゆくもの―SL挽歌」を基調に、十点のそれぞれが独立した作品でありながら、全体が一枚の絵となるように描い」た、といい10枚の原画をもとに、一つ一つの五月雨の物語りを一枚の大きなステンドグラスによって統合するという形を取っているそう。一つ一つが「鉄道の思い出」に関する作品をもとにしているそうです。
絵柄としての美しさや色彩の美だけでなく、連なった物語として見ることができるとは。なんとなーく見てきた今まででは気がつかなかったことでした。
10編の物語のうちのひとつに「子供の頃、最もたくさん乗った鉄道は宇野線だった」(宇野線のおばさん)とはじまる小川洋子さんの物語があります。どこか懐かしい、哀愁を感じさせるエッセイですが、ステンドグラスからそのような趣を感じるとしたらそんな物語が刻み込まれているからかもしれません。
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