雨の日のイライラと丁寧に向き合う。きっかけはおにぎり屋さん
言葉の持つ力、会話の持つ力ってすごいなぁと思うことがありました。
それはある雨の日の休日。自粛ムードも少し薄れたので久しぶりに都心へ出かけた時のことです。一通り買い物を終え地元の駅まで帰ってきたものの、なんだかやけに無気力。雨が降り続く中、かさばる紙袋と大きな傘、それと足元の長靴が足取りを重くします。行きの道はあんなに張り切っていたのに。
「もう歩きたくない…!」
そんな心の声が聞こえてきました。朝から蒸し暑く降り続いている雨がやけに憎くて、イライラが募っていました。
雨の日、イライラとヘトヘトな気持ちで寄ったおにぎり屋さん
「パワー切れだ…」
そう思って足を運んだのは駅ビルの中にある小さなおにぎり屋さん。なんだか無性におにぎりが食べたかったのです。雨のせいか人が少なくてガランとした空間で、イライラと空腹に耐えながら、脱力気味にショーケースを眺めていました。
「いらっしゃいませ~」
少しして奥から店員さんが出てきました。だけど私は軽い会釈だけ。シャキッとする余裕がなくてただぼんやり立ったままでした。
「すごい雨ですね~いつまで降るんですかねぇ」
ご近所さんに話しかけるような緩い口調で店員さんが話をし始めて、油断していた私はびっくり。
そのまま店員さんにおすすめされた通りにおにぎりを注文。頭の中は真っ白でした。
いつもの生活に彩りを与えてくれた些細な会話
お会計中も緩いおしゃべり口調で店員さんは話します。
「一か月分の雨が降っているみたいですねぇ」
「明日は晴れるといいですね」
そんな他愛もない内容だったけれど、二言三言話しているうちに先ほどまでのイライラが消えてしまっているようでした。そしてお店を後に歩き始めたとき、心がすっきり晴れていることに気が付きました。
「変わらず雨が降っているけれど、なんだか元気が出てきたなぁ」
「疲れているからゆっくり歩いて帰ればいいや」
「雨の日はこの長靴がかかせないなぁ」
さっきまでの鬱々としていた気持ちが嘘みたいに、むしろ雨の日の生活を楽しんでさえいました。
すべては、店員さんとの小さな会話がきっかけでした。本当に些細な天気の会話。気分を落ち込ませていた雨も、今となっては思い出の一部になっているのが不思議です。
あの数分のやりとりが、私の大切な思い出のひとつになっていました。
店員さんにとってはきっと、なんてことないおしゃべりに過ぎなかったと思います。
私自身も些細な出来事であったと思うけど、その後家に帰って食べたおにぎりは、いつもより美味しくて心がほっこりする感じがしました。
店員さんの人柄や、人がもっている温かさ、のようなものが伝わってきたからでしょうか。
空腹は最高の調味料というけれど、あのおにぎりにとっては、会話の余韻が一番の隠し味でした。
「なんだかありがたいなぁ」
おにぎりを食べて一息つきながら、店員さんや雨空への温かい気持ちが、自然と込み上げてきました。
気持ちを伝えることから始めていきたい、私の丁寧な暮らし
雨の日のおにぎり屋さんでの出来事は、その後私の暮らしにちょっとした変化をもたらしてくれました。
「気持ちをきちんと伝えたい」
そんな思いが芽生えてきました。あの時店員さんに元気をもらったみたいに、私も気持ちを伝えたくて、目を見て言う「ありがとう」を心がけるように。会釈で済ましてしまいがちな普段の生活のレジでのやりとりでは特に気を付けています。
いざやってみると意外と照れくさくて目を逸らしてしまいそうになることも。それでも丁寧に相手と接しようと思うだけで、暮らしの小さな会話が楽しく感じられます。
「いつかどこかで、誰かを元気づけられるといいな」
そんな思いを抱きながら、これからも小さなコミュニケーションを大切に暮らしていきたいです。
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