等身大の丁寧な暮らし。赤紫蘇ジュースのレシピと夏の生活
ある日の朝、じめっとした部屋の窓を開けると、爽やかな光とともに清々しい夏の風がカーテンを揺らしました。
「夏の香りだ!」
昨日まで何日か雨が続き、部屋干しの洗濯ものと、その湿気が籠った部屋。家ごと私ごと、やっと深呼吸できたような嬉しさを感じました。
するとふと思い出したのは、子供の頃によく遊びに行っていた友人宅の縁側。裏庭の木や笹がざわざわと揺れる音が聞こえる、風通しが良く夏でも涼しい縁側でした。
たしか、大人の誰かが、子供の私にもいつも飲み物を出しておもてなしてくれました。日によって麦茶やカルピス、オレンジジュース……中でもワクワクしたのは、自家製の赤紫蘇ジュースだった気がします。
「懐かしい。もう20年くらい飲んでないなあ…」
だけれど、あの鮮やかな赤紫色と爽やかな風味はなんとなく思い出せます。久々に蘇った記憶を逃したしたくないし、今なら私にもできるかもしれない。料理が趣味の一つである私は、そう思い立って、さっそくその日に赤紫蘇を買い、初めてジュースを作ることにしました。
かんたん!自家製の赤紫蘇シロップ
購入した赤紫蘇の包みの裏にシロップの作り方が載っていたので、今回はそのまま参考にしてみました。
---材料---
・赤紫蘇の葉 200g
・水 1.5リットル
・砂糖 400g(お好みで増減してOK)
・酢 150ml
---作り方---
①枝から葉っぱを取り、きれいに洗ってザルに上げ、水気をしっかり切ります
②鍋に水と①を入れて強火にかけます
③沸騰したら中火~弱火にして5分ほど茹でます。次第に赤い色素がお湯に溶け出し、葉が緑色に変化します。
④ざるに上げ、葉を取り除きます。
⑤砂糖を入れてよく溶かします。この時点ではくすみのある濃赤色をしています。
⑥お酢を入れてかき混ぜます。ここで鮮やかな赤色に変化します。
⑦シロップが冷めたら完成。保存瓶などに入れて、冷蔵庫で1か月くらい保存できます。
原液はかなり甘いので、飲むときは水割りやソーダ割で。私はあっさりが好きなので、5~6倍くらいに薄めています。
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想像していたよりもずっと簡単で驚きました。初めての自家製シロップ作りは、初夏の暮らしがワンランクアップしたような、満足感もありました。酸味と紫蘇の爽やかな香り、優しい甘さが美味しいです。個人的に、氷を入れてキンキンに冷やすのがおすすめです。
遊びの中で覚えた夏を丁寧に辿る 色と香りの思い出
自家製の赤紫蘇ジュースを飲みながら、幼い頃はその色味にワクワクしていたことを思い返していました。当時まわりの友人たちの間では朝顔やツユクサの花を潰し水に溶いた、色水づくりが流行っていました。だけれどお花だけでは、赤紫蘇ジュースのような濃くて鮮やかな赤紫色を作るのは難しいものでした。だから、自分で作ることができない色を口にする、好奇心とワクワクだったのかもしれません。
朝にふと思い出したよく友人宅には、色水づくりやおままごとによく遊びに行っていたのです。裏庭を眺める縁側は、私達にとって草花を並べるショーケースのようなところでした。
その友人とは成長するにつれ疎遠になってしまい、懐かしくも少し切ない思いで、夏の夕方の風を浴びていました。同じ夏を共有することは難しかったけれど、キラキラした色や香りの記憶は、大人になっても印象強く残っているんですね。
季節の生活と香りを、暮らしの中で思い出す瞬間
最近ふと思い出した味を再現したくなることが多い気がします。あの味をもう1度と思う一方で、この気持ちを誰かに共有したい、そんな思いもあります。
そんな風に思い出すスイッチは季節を感じる風や香りなど、知らぬ間にいつも身近にあるものだったりします。思い出した味や素材と丁寧に向き合い、季節を感じる良さもありそうです。
最近はマスクをして出かけることが多いので、風や香りは忘れがち。だけれどたまには深呼吸して、季節の香りを体にたくさん取り込むのもいいかもしれません。
私は夏の日差しと暑いのは苦手だけれど、夏の香りは好きだなあと思います。
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