バッグの修理で直ったものは、私の気持ちだったのかもしれない

バッグのアップ

先日、初めてバッグを修理に出しました。
20歳のお祝いにと母にプレゼントしてもらった、私にとって初めてのブランド物のバッグ。いろんな店舗を見て回って、ブランドの主張が激しいのは嫌だなと思ったのと、飽きがこなさそうなシンプルなデザインとサイズ感に惹かれて選んだバッグ。淡く優しい色合いも私好みでした。
鞣し方なのか、水滴がすぐ染み込んでしまう繊細な革らしく、雨の日等の天気の悪日は使わないようにするなど、決して使い勝手が良いとは言えませんでしたが、普段よりもいいバッグを持って出かけるといつもより大人になったような、背筋が伸びるようないい気分になりました。
最初は使うことにもビクビクしていましたが、ちょっとずつ慣れていって、でも雑には扱わないように、大切に大切に使っていたバッグでした。

初めてのバッグの修理はわからないことだらけ

梅雨も終わり天気のいい日が続くようになった頃。雨の心配もなくなったし久々にバッグを使おうと手に取った時に、カバンの四角が白っぽく擦れているのが目につきました。いちど目に入ってしまったからでしょうか、電車の中で膝の上に載せているときも、会計の際に財布を取り出そうとするときも、何度もバッグの四角に視線が行ってしまいます。
せっかくいいものなのに、そこが擦れてしまっているだけでバッグ自体が可愛そうに見えて、何となく隠してしまいたいような、そんな気持ちになります。
せっかく記念にとプレゼントしてもらったバッグだし、今後も堂々とした気持ちで使っていきたい。そんな思いで初めて頭の中に修理という二文字が浮かんできます。でも、バッグの修理ってどの程度でお願いする物なのでしょうか、今のこの状態は修理するレベルなのでしょうか、全くわからず…。ネットで参考事例を探してみようにもなかなか出てきません。
数か月悩み、思い切って店頭まで持って行ってみることにしました。

気になっている擦れの部分、記念に買ってもらった思い出のバッグで長く使いたいということ、擦れてしまっていることが申し訳ないという気持ち…店員さんは私の言葉を丁寧に聞き取ってくれます。現状でわかっているできることと、どうしてもできないことを説明してくれ、その日はそのままバッグを預けて見積もりを出すために職人さんのもとへ送ってもらうことにしました。修理が可能かどうか、金額はどの程度か、全て正確にわかるのは職人さんに見てもらってからなのだそうです。少し落ち着かない気持ちで結果の電話を待つ日々でした。

もらった言葉が背筋をまた伸ばしてくれたような気がした

結果から言えば、修理はしませんでした。
仕上がりはイメージするしかありませんが、革が繊細で色も淡いために、色を塗り直しした部分だけテカテカとしてしまう可能性があるとのことだったからです。
電話での説明の際に、職人さんが「状態も悪くないのに色を入れて今の風合いがなくなってしまうことの方がもったいないから、また次回でもいいのでは」と言っていたと教えてもらいました。説明してくれた店員さんも「大切に使ってきたということが見た目にも出ているので伝わってきます」と言ってくれ、どちらの言葉も私にとってあたたかく優しいもので、このままの状態でも使い続けてもいいのかもという気持ちになりました。

後日バッグを引き取りに伺うと、お手入れの仕方を丁寧に教えてもらいました。電話の後に再度職人さんに問い合わせてくれたらしく、その心遣いがとても嬉しく感じます。
気になっていた四角の擦れも、自分の視点からは距離が近いから気になるかもしれないけれど、実は周りの人はちょっと距離があるからほとんど気にならないんですよと、実際に少し離れたところで持って見せてくれた店員さんは、最初に私が悩んでいた擦れたバッグを持ち歩くことの申し訳ない気持ちを解消しようとしてくれているのかもしれないと思いました。確かに、少し遠目だと擦れは気にならない気がしました。店頭で見せてもらった私のバッグは、照明のせいでしょうか、不思議と前よりもきれいに見えました。

これからも丁寧に、大切に

バッグを持っている姿

修理はしなかったけれど、自分以外の人の意見を聞いたり、いつもとは違う距離感でバッグを見せてもらったりしたことで、前よりも自信をもって使うことができるような気がしました。バッグというよりも、私自身の気持ちを立て直してもらえたような、そんな気もします。
本当に修理が必要になるころには、このバッグとの間にはどのくらい思い出が増えるでしょうか。思い返したときに胸が温かくなれるような、そんな思い出を増やしたいなと、戻ってきたバッグを見ながら思いました。

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