チャールズパッチの生みの親|丁寧な靴修理に込められた暮らしへの思いを探る

私たちはお気に入りに囲まれたり、美しいものに出会うと自然と心が揺さぶられることがあります。気に入ったものをとことん長く使ったり、何度でも訪れたくなるお気に入りのリズムに囲まれた暮らしに惹かれるのは、そんな根源的なおもいが関係しているのかもしれません。今回はとことんいいものを使う価値観に引き寄せられて、靴修理工房に取材に行ってきました。

---

”良いものを長く”つかう靴修理工の価値観

「大切なのは使いやすい、良いものを長く使っていただくことです。」

そう語るのは表参道に程近い閑静な住宅街に、靴修理店を構える、スタジオヒドゥンの佐藤オーナー。従来では修理不可能といわれてきた靴をチャールズパッチと呼ばれる方法を駆使してよみがえらせる修理職人です。

隠れ家的靴修理工房studio hidden

今回取材に伺ったのは、地下の打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた小さなスタジオ。階段を降りた先にある控えめな看板が目印で、よほど注意深く観察するか、目的をもって訪れなければまず気づかないかもしれません。そんな隠れ家のような工房も、いまや各地から修理の依頼が舞い込む人気工房になっているそう。

最初の数年でコンビでスタンダードブラックのブーツ専門店を掲げた佐藤さん。その時期は極めてシンプルで、手作業に徹した靴を提供していたそう。

「後に単独店を旗揚げし、この場所に移転。今年で4年目、ここ1年は本当に働きづめで大変です。」そう語る佐藤さんの表情は、その言葉とは裏腹に充足感で溢れているように見受けられます。

「チャールズパッチ」の名づけ親、佐藤さん

取材陣が来る前も、修理依頼を受けて接客を行っていたと言う佐藤さん。早速自身が名付け親になったチャールズパッチについて聞くと、革靴ならではの特徴についてイチから教えてくださいました。

「革靴の靴底は、基本的には何度でも交換できます。ただし、アッパーと呼ばれるつま先や上部などの部分にダメージが重なると、寿命とされていました。

チャールズパッチは、そんな従来の常識では修理不可能だった靴も、修理できる技法です。修理され寿命がさらに伸びたお気に入りの靴で、さらに長い距離を歩むことができるようになるのです。」

お客さんの要望も受けてデザインする”チャールズパッチ”の修理

お客さんの中には他店でも断られた靴の修理に望みをかけ修理を求める方もいるそう。ときに10万円近くの費用が発生することもあるが、佐藤さんも“買った方が安い”などと無下なことは言わないと言います。身体にフィットする“この靴”を、修理して長く使いたいと言うお客さんがこの店に助けを求めるのだという事がよくわかるエピソードです。そんな注文の中では、両足をそろえたとき、チャールズパッチが合わさって円になるようなデザインにして欲しいと言う方もいるそう。佐藤さんはそのような要望にも応え、個性的ながらつぎはぎ痕も自然な紳士靴を作り上げます。

「もちろんお客様の要望を聞くだけではなく、当店の方からこういうデザインがご希望でしたらこんな方法がありますよ、とご提案させて頂いて、一緒に考えていくようにしています。」

 

セミオーダーでも体に合った靴が出来上がる理由は、靴型(ラスト)にあり

実際に見せてくれた靴は非常に自然な色合い。言われなければ別の皮を張り合わせているとは到底思えない。ベージュの皮を茶に染めて使っているというこだわりです。

修理をしたお客さんの多くは、その技術に感動し、今度はオーダーシューズを作りに来ることが多いという。スタジオではオーダーメイドのシューズ以外にも、値段が比較的安いセミオーダーのシューズも取り扱っているという。佐藤さんによれば、履きやすいように微調整され、体のバランスを保つよう設計された木型を使っている為、セミオーダーでも充分な靴が出来上がるのだという。

「使いやすいものをご提供すること。当店であればもちろん責任を持ったリペアサービスが提供できますから、ずっと履いていただけます。」

佐藤さんが作りたい価値観は・・・

 デザイン性やかっこよさブランド力よりも実用性や“修理してずっと履き続けることができる”この店の紳士靴に信頼が集まる理由は、長く履き続けるための確かな技術力と志を持った修理工の手仕事によって支えられているようでした。佐藤さんは語る。「studio hiddenの靴を長く使ってくれることで、その人の価値観が変わってしまうような製品を作りたい。」「セミオーダーだってフルオーダーだっていい。良いものや自分が好きなものを、長く使っていくような価値観を提供したいのです。」

Studio hiddenのインフォメーション

Studio hidden

住所:東京都渋谷区 千駄ヶ谷 3-6-3 Pelangi 神宮 B1
電話:03-6885-4573

丁寧な暮らしに関連する記事

簡単レシピ!おうち居酒屋を家族みんなで楽しむアイデア

簡単レシピ!おうち居酒屋を家族みんなで楽しむアイデア

20歳を迎えた大学生が、家族とお酒を楽しむため、料理初心者でも作れるレシピで、お酒に合う簡単メニューに挑戦。家族との時間を大切にし、「おうち居酒屋」がさらに楽しくなるアイデアを紹介します。
簡単レシピ!おうち居酒屋を家族みんなで楽しむアイデアの画像

寂しいと喪失感の対処法~出会えた私の宝物、ラジオのすすめ

寂しいと喪失感の対処法~出会えた私の宝物、ラジオのすすめ

子どもの独立や卒業による友達との別れなど、生きていると寂しい気持ちや喪失感に襲われ、どうするのがいいのか悩んでしまう事も。そんな「寂しい」に真剣に向き合い、喪失感との付き合い方について考えてみました。
寂しいと喪失感の対処法~出会えた私の宝物、ラジオのすすめの画像

一人暮らしの寂しさ紛れる!ホームシック大学生に紹介したい習慣

一人暮らしの寂しさ紛れる!ホームシック大学生に紹介したい習慣

大学生になり、慣れない一人暮らしが始まったり、コロナ禍で帰省のタイミングを見失しなったり「1人が寂しい」とホームシックになる人も多いでしょう。そんな悩みを少しでも軽くできるお勧め生活習慣を紹介します。
一人暮らしの寂しさ紛れる!ホームシック大学生に紹介したい習慣の画像