暮らしとともに丁寧に見つける、私が思うこの街の好きなところ
今暮らしている街は、はじめ、暮らし続けられる自信がありませんでした。
というのも、世間的にあまり治安が良くないといわれていたり、個人的に通勤に少しだけ時間がかかったりと、2年の契約まで心地よく暮らし続けられるか、この街に馴染めるか不安でした。
だけど、2年が経った今、私はこの街での暮らしがいつのまにか大好きになっていました。
みんなが言う「良い街」も良いのかもしれないけれど、自分が見つけていく、「この街の良いところ」があっても良いのかもしれません。
これは、そんなことを気づかせてくれた、私と私の住む街のお話です。
この街で心地よく暮らしたい。そう思っていたけれど見ていたものは…
初めての一人暮らしは、転職したばかりの頃でした。
転職したばかりだから家賃は押さえたいと、都心にある会社から離れた街を選びました。
暮らし始めた頃は、何もかもが新鮮でとても楽しかったのですが、すこし落ち着いてくると今まで気にならなかったことが気になるように。
たとえるなら、気にならなかった恋人の癖がしばらく経つと、気になってしまうようなものでしょうか。
夜に鳴り響くサイレンの音、人の多さ、夏は暑くて冬は寒いところ…
疲れているときは、おさら身に応え、「もう引っ越したい、この街私には合っていないのかもしれない…」そう思うことが増えていきました。
だけど、3か月ほど暮らした頃、家の近くに大きな川があることを知りました。
昔この街に住んでいた知人に、「そのあたりに家があるなら近くに大きな川があるでしょう」と言われたことがきっかけでした。
だけど、私は全く知りませんでした。
その週の日曜日の朝、晴れ渡る天気とは対照的に恥ずかしいような気持と一緒に、歩いてその川までお散歩しに行きました。
すると、そこにはとても綺麗で、気持ちの良い大きな川がありました。
朝日に照らされキラキラと輝く水面、まっすぐ伸びる道がみせる気持ちの良い景色、すれ違う人との朝の心地よい挨拶…
苦手なところばかりを見つけて、この街にある素敵なところを見落としていたのです。
きっとどこにも載っていない、暮らしの中で見つける「この街の好きなところ」
それから、街のあちこちへ足を運ぶようになりました。
すると、今まで見えてこなかった、たくさんの「素敵なもの」が目に入るようになりました。
ちょっと不機嫌そうな店主がつくるとっても美味しいケーキ屋さん。
一人でふらっと立ち寄る居酒屋さんの奥さんの声が柔らかいこと。
お世話になっているお花屋さんで働く外国の方がこっそりサービスする時ニコっと笑ってくれること。
それは、きっとどこにも載っていない私だけが知っていることでしょう。
他の人にとっては大したことのないものかもしれないけれど、自分にとっては心地よい、たくさんの大切なものです。
暮らしとともに、苦手なところも好きなところも、一つひとつ丁寧に見つけていけたら…
今は、離れる時が少し惜しいです。
苦手なところや自分だけが知っている好きなところを一つひとつ丁寧に見つけていけたら、いつしかそこは他に代えられない、かけがえのない場所になっているのかもしれません。
街を離れる時、夜中のサイレン音の大きさに半泣きになったことや、隣の家の猫の顔が丸いこと…ちょっとしょうもない、けれど思わず頬が緩んでしまうことほど、覚えているのかもしれません。
そして、自分が見つけた「この街の良いところ」を何度も何度も思い出しては、少しだけ心が温かくなるのでしょう。
時には、「戻りたい」なんて言ったりして。
「完璧じゃないからいい。」
今は、心を込めてそう言いたいです。
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