おせちを作ったことで気付いたこと。当たり前に感謝したお正月

青空と雪の積もった山

お正月に食べるものと言えば、おせち料理を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。でも、なんでお正月はおせちなのだろう。もっと他においしいものがたくさんあるのに。おせちに込められた意味を知らなかった幼いころには、特に強く思っていました。どちらかと言えば好きではないおせち料理。お正月だから、出されるから仕方なく食べている。今までの私にとってのおせち料理はそのような認識の食べ物でした。

母と一緒におせちを作って見えたものは、たくさんの優しい気持ち

年末、とても悩みましたが両親とも相談して帰省をすることに決めました。最終電車で帰ったからか、乗客は少なくシンとした車内。例年ならイルミネーションを楽しむカップルや、お酒で頬を染めたスーツ姿のおじさんたちや、楽しそうに闊歩する学生たちの姿が多い駅前も、静かな暗闇に包まれていて不思議な感じがします。目に映る景色は変わっていても、肌で感じる、都内とは異なる冬の冷たく肺に刺さるような空気が「あぁ、帰ってきたんだな」という実感を思い出させてくれました。

久々に対面した両親と祖父母の元気な姿にほっと一安心。たまに電話で会話はしていたので近況は報告し合っていましたが、やっぱり直接顔を見てお話しできることってこんなにも嬉しいものなんだなぁと改めて思います。
またお正月におせちを持って遊びに来るねと、いったん祖父母の家を後にしました。

今年は母と一緒におせちを作ることに。一緒にキッチンに並びながら作っていきます。

「う~ん、伊達巻作るんだよね?あんまり好きじゃないんだよなぁ」
「そう思って穴子を用意しておいたよ。みんな伊達巻好きじゃないし、穴子巻きにしよう!」

「かまぼこの切り方どうしようか」
「可愛い切り方調べてみる?…あっ、このうさぎのやつ可愛いね」
「ほっぺた何で作ってるんだろう」
「うんとね…梅干しだって~」

「栗きんとん、甘さ控えめの方がいいよね?」
「うん、甘すぎないのがいい」
「そしたらお砂糖入れないで作るね」

今までは出されるから何となく食べていたおせち。でもこうして一緒に作ると、皆に喜んでもらえるように我が家なりのアレンジがいくつもあることに気が付きました。毎年こうして食べる人のことを考えながら作ってくれていたのでしょうか。なんだか急に、何も考えずに『おせち』というだけでテンションが下がって、仕方なしに食べていたことが申し訳なく感じました。
なので、私も。かまぼこでうさぎを作りながら、祖父母はどんな反応をしてくれるかな、うさぎの表情を1匹ずつ変えてみようかなぁなんて、食べてもらう時のことを考えながら作業をします。どんどん楽しくなってきてしまい、5匹つくればよかったうさぎが気付いたら倍の数できていました。
出来上がった料理を一人分ずつ重箱に詰めていきます。メインの海老は真ん中に。黒豆はピックに刺してちょっと可愛らしく。色どりを考えながら配置していきます。きれいに見えるようにと考えながら詰めていると、今までおせちに対して感じたことのないわくわくとした気持ちが込みあがってきました。

皆で過ごせることに感謝したお正月

おせち

今年は珍しく、粉雪の舞うお正月でした。年末年始に積もるほど雪が降るのはいつぶりでしょうか。ぎゅっぎゅと雪を踏む音に気持ちが高揚します。
祖父母の家に伺い、皆でテーブルを囲みおせちを食べます。普段、何を食べてもほとんど料理の感想を言わない祖父が、手渡されたおせちを見てすぐに「うさちゃん、可愛いなぁ」と、にこっと目尻を下げながら漏らした一言がとても嬉しくて、心がぽかぽかしました。
これは朝から出かけてあそこで買ったんだよ、これはこうやって作ったんだよと談笑しながら食べるおせちは、不思議といつもよりおいしく感じます。今まではお正月だからとりあえずおせちを食べるのだと考えていたことが、こうやって新年に家族そろって笑顔でおせちを食べられる時間の愛おしさへと変わったからでしょうか。

普段の暮らしも丁寧に。一瞬一瞬を大切に過ごしていきたい

環境、暮らし方、働き方、移動の制限など、いろいろな変化のあった前年。だからこそ、こうしてまたみんな揃って新年を迎えられることが、とても嬉しく思うのです。
もしかしたら、こうやって当たり前にみんなで集まるという行為が当たり前ではない日がきてしまうかもしれません。そう思うと、何気ない日々の暮らしや、人と人とのつながりをより一層大切にしたいなと強く感じました。今年1年、そういった気持ちを忘れずに過ごしていきたいなと思ったお正月でした。

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