山菜で丁寧に季節を感じる暮らし 春の味覚は「わらび」
先日、スーパーでムカゴを見つけ、秋の山菜が気になっていました。
しかし山菜料理を自分で作ったことあったっけ…?ふと思い返すと、そういえば今年の春にわらび料理に挑戦していました。
季節は変わったけれど、その時に考えて心が温かくなった出来事をお話したいと思います。
ある日、「春だから、山菜食べたいなあ」とふと思い、スーパーで目に留まったのは「わらび」でした。私にとって、春からイメージする食材のひとつです。
食べたいと思ったものの、はて、調理方法がわからなくて、うろうろと迷った末に買わずに帰宅。だけれどやっぱりわらびが食べたくて、その夜すぐに実家の祖母に電話してみました。
祖母の わらび定番レシピ
さっそく要件とわらびが食べたい思いを伝えたところ、少し不思議そうに、だけれどなんだか嬉しそうに教えてくれました。
はじめに、えぐみのもとである灰汁をとります。
1、わらびが浸かるくらいの大きさの鍋で、お湯を沸かします。
2、沸騰したら重曹を入れ、溶けたらわらびを入れて、1分程度火を通します。
3、サクサクした食感を楽しみたいときは早めに鍋から上げてすぐに水にさらします。柔らかく仕上げたいときは鍋から上げた後に余熱で少しおいてから水洗いします。
太く成長したものは、一晩漬けて灰汁を取る方法も。
1、根本を切り落とし、切り口に重曹をまぶします。
2、わらびがすっぽり浸かるくらいの鍋を用意し、わらびを入れたら残りの重曹を振りかけます。
3、2の鍋とは別に用意しておいた熱湯を、わらびが浸かるくらいまで注ぎ入れ、落し蓋をして一晩冷まします。
4、しっかり冷めたら、わらびをよく水洗いします。
・おひたし
下ごしらえしたわらびを、食べやすい大きさに切って小鉢に盛り付け、おろしショウガをのせて、お好みで醤油を少々。ショウガがない時は、鰹節も良さそうです。シンプルで美味しい、わらびのおひたし。
・たたき
水から火を通してやわらかく仕上げたときは、たたきもおすすめ。わらびがあたたかいうちに、ねばりが出るまで包丁の背でたたいてつぶします。味付けは味噌、砂糖、ゴマで。お好みでサンショウを入れると、香りのアクセントになります。
その翌日、さっそく購入。かなり成長したものだったので重曹水に一晩漬ける方法で試したところ、想像していたよりもずっと簡単でした。祖母が不思議がるのも納得です。
今回は小鉢によそって、おひたしに。サクサクの食感と粘り気、しょうがの爽やかさと合わさってとても美味しい。普段は山菜を食べる機会がほとんどないので、季節を感じる食材でいつもの食事がより豊かになった満足感がありました。
生活の中でふと気づく、懐かしい春の味を求めて
そのとき、「春だから山菜食べたい」と思ったのは、この時期、実家でよく食べていたからなんですね。
わたしは東北の米どころ出身。実家は田んぼの中にあり、近くの土手にわらびが自生していました。幼い頃、祖母と散歩のついでに、わらびを採るのが楽しみだった記憶があります。
自分で作った時に感じた、わらびをつかんだ後に手から漂う香り、灰汁を抜いているときの香り。思い浮かぶのは、あの土手の風景と土の香りを運ぶ春の風、そして小さい頃に家族と食べた春の味でした。
祖母との電話で私の当時の記憶を伝えると、今の土手の様子や、お友達からどっさり山菜をもらった話も教えてくれました。その声のトーンから、いつも通り元気そうな様子が伝わってきます。
まっさきに祖母に電話をかけたのは、実家に思いを馳せる気持ちから。それと同時に、最近の様子を心のどこかで気にしてたからだと思います。
暮らしと料理で丁寧に紡ぐ、季節の味覚
普段の料理のレシピは、手間をかけずにネットで探すこともあります。今の気分に合うものを選んだり、初めての味付けにチャレンジしたり……
だけれどあえて、私のように一緒に暮らしてきた家族にレシピを聞いてみるのはいかがでしょうか。家族で食べていた馴染みのある料理を通して、味や食材で繋がる大切な記憶やエピソードに気が付くかもしれません。
ほっとする懐かしい味を再現することは、私にとって離れて暮らす家族を近くに感じる、心の栄養だったようです。
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